日本全土を騒がせた、海賊版漫画サイトの「漫画村」。
その運営者とみられる人物が、特定されたことがわかりました。
兼ねてから、漫画村の運営者の捜査は継続されていましたが、「海賊版サイト漫画村を著作権侵害で大手出版社が告訴」「漫画村の運営者は?既に特定済みか!逮捕はされるの?」などでも紹介していましたが、今回は決定的のようです。
日本の弁護士が漫画村の運営者を特定
著作権を無視した漫画の海賊版サイト「漫画村」の運営者とみられる人物を、日本の弁護士が特定したことがわかりました。
漫画村の運営者の身元特定が困難だった理由の一つが、「防弾ホスティングサービス」。
漫画村は、米国クラウドフレア社の提供する防弾ホスティングサービス(身元を隠すのに使う)を利用していたことが、以前から知られていました。
このサービスは、顧客の匿名性を重視しており、海外から情報開示要求を行っても、相手にしてもらえず捜査がなかなか進展していませんでした。
しかし、今回、アメリカの著作権者を通じて訴訟を行うことで、情報開示要求に応じたことが、捜査進展のきっかけになったようです。
米国で民事訴訟を提訴
米国で起こされた民事訴訟は、漫画村に著作権を侵されていた、米国在住の漫画家が原告となりました。
これまで「知らぬ存ぜぬ」を貫いてきたクラウドフレア社であっても、米国で起こされた民事訴訟に対しては、適切な対応をしないと罰則を受けるので、しっかりと対応される結果に。
証拠開示手続き(ディスカバリー)が行われ、クラウドフレア社から漫画村に対する、課金関係の資料が取り寄せられ、その情報をもとに漫画村運営者の特定が試みられました。
その流れは、以下のとおりです。
・6月12日、アメリカで民事訴訟を提訴
・同月15日、裁判所がクラウドフレア社に対し課金関係資料の提出を求める罰則付召喚令状(Subpoena=サピーナ)を送付
・同月29日、クラウドフレア社から資料が届く。より詳細な情報が必要であればPayPal子会社に召喚令状を送るようにとの記載あり
・7月10日、PayPal子会社に対し、資料の提出を求める召喚令状を送付
・同月16日、PayPal子会社からの資料が届く
・8月28日、民事訴訟を取り下げ(いずれも現地時間)
この一連の手続きで、クラウドフレア社とPayPal子会社が、サーバー契約者の氏名・住所・メールアドレス・携帯電話番号・IPアドレスなど、個人特定に役立つ情報が開示されました。
その情報によると、運営者とみられる人物がクラウドフレア社と契約したのは2017年5月。漫画村がオープンした時期と重なります。
開示された情報では、クラウドフレアと契約している男性の住所は東京都内のマンションになっていたとのこと。
さらに、男性の本名や住所、男性が親族の名義でこのマンションを借りていたことも判明しました。
今後はどうなるの?
今後は、漫画村の運営者とみられる人物に対して、刑事告訴、民事訴訟が行われていく予定です。
とはいえ、3,000億とも見積もられる被害額に対し、漫画村の運営者が所持しているとみられる資産はスズメの涙ほど。
今回クラウドフレア社が、米国からの手続きで情報開示に素直に応じたのは、マンガ業界にとっては吉報です。
直接の権利者が、適切な法律に則った手続きを行えば、違法サイトの運営者の情報もしっかりと開示されることがわかったので、今後、同様のサイトの閉鎖の足がかりになることが期待されます。
「漫画塔」と「漫画村」の運営者は同じ?
2018年10月9日、漫画村そっくりのサイト「漫画塔」が話題になりましたが、同日22時頃から急にサイトへのアクセスができなくなり、サイト閉鎖が宣言されました。
拙い日本語であることから、外国人の可能性が指摘されていましたが、漫画村の運営者が特定されたとの報告とほぼときを同じくして閉鎖になったことから、関連性は高いと思われます。
参考:https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/manga-mura?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter&utm_term=.ucM6w0ldP
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