【食戟のソーマ】第299話 陰陽互根 のネタバレあらすじ
タクミと創真は見事なコンビネーションを見せます。
タクミと創真の体捌きは目で追うのも困難な程、常にトップギアが入った状態でした。
その動きはまるでダンスのようで、熱く踏み鳴らすタンゴのようでもあり流れ舞うバレエのような目まぐるしい連携です。
そしてタクミは発現したばかりの異能「闘いの舞踏」を繰り出し、バトントワリングのようにメッザルーナを高速回転させて素材を的確に切り刻みます。
弟のイサミとしか完成しないはずなのにタクミが創真と連携出来ている事に、カーマはショックを受けます。
そしてタクミは色と黒の陰陽の模様に縦に分かれたヴェリーヌを、審査員に提供します。
タクミの品の白の部分は、茶碗蒸しに近いイタリア料理であるスフォルマートをベースにした物でした。
また黒の部分はスッポンを使用しており、すっぽんとチーズのヴェリーヌでした。
通常は乳製品と淡水魚介は臭みが強く組み合わせるのが難しい食材ですが、ナッツ類と柿の種を使用して臭みを消してサクサクした食感も表現していたのです。
カーマが本来合うはずのない物同士が奇跡的に噛み合っている事に驚いていると、タクミは創真とぶつかり合った日々を思い出します。
互いに勝ち負けを繰り返し切磋琢磨してきた日々は無駄ではなかったと、タクミは呟きます。
そしてイサミも救出され、タクミと創真のタッグの勝利という判定が下されました。
【食戟のソーマ】第299話 陰陽互根 の感想・300話の考察
タクミのピンチに登場した創真は、見事は連携を見せました。
通常ではタクミの異能は肉親であるイサミとしか発動しませんが、創真でも発動させる事が出来ました。
アンが創真を見ながら本来なら発動条件はイサミのみだと考えていたシーンからすると、発動させる事が出来たのは創真の力だと思われます。
今のところ創真には異能は無いという事になっていますが、どんな状況にも柔軟に対応出来る力自体が創真の異能だという事になるかもしれません。
タクミの試合結果も出たので、次回は恵の試合になるのではないでしょうか。
そして恵に発現した異能も披露されると思われます。
【食戟のソーマ】第298話 二人には のネタバレあらすじ
会場に現れた創真は、サポートの料理人が足りないなら、その穴は自分が埋めると言います。
それに待ったをかけたドンは、招集するサポートメンバーを事前に申告するという、ブックマスターの下命を盾に、申告と違う料理人がサポートに入るのは、失格案件ではないのかと騒ぎ立てました。
しかしそのようなことは、対戦者両名の調理能力を、最大限に輝かせられるのであれば瑣末な問題であり、自分たちWGOは創真のサポート参戦を認めると、男性ブックマンがドンの抗議を却下します。
これ以上の反論があるなら、イサミが姿を現さないわけを調査し、追及しなくてはならないと睨む男性ブックマンに、さすがに分が悪いと見たのか、どうせ勝つのは自分たちだとドンは引き下がりました。
前菜の前に出されるアミューズに、多人数でしか作り出せない手間のかかるものを出せというお題に、ドンが出した回答は『ヴェリーヌ』。
3つのグラスのヴェリーヌを、すべて合わせても1分以内に間食しろと勧めるドンに、戸惑いつつも従った審査員たちは、その美しさによる見た目のインパクトと、様々なムースの柔らかな口当たりに魅了されます。
ブックマスターのお題に見事に応えた、多人数による一糸乱れぬ”連携”に、審査員たちは舌を巻きました。
アルディーニのタッグ料理の神髄である、メッザルーナの真価を発揮させられるのは、アルディーニ兄弟の二人だけだと知っているのだと言うドンは、自分たちの料理にどう対抗するのかとタクミを挑発します。
そこまで調べ上げたうえでイサミを拉致したのかと、納得する男性ブックマンが、深い絆が必要な連携の異能を、創真に引き出せるのかと思っていると、案の定二人は下らないことで言い争いを始めます。
そんな二人を見て、余計なことをしてしまったかと小声で詫びる恵に、大丈夫だ助かったよと礼を言ったタクミは、2つあるメッザルーナの持ち手の片方を、創真に差し出しました。
メッザルーナを構えた二人は、再びお互いの物言いが気に入らないと、持ち手を握ったままいがみ合いますが、ふんっと顔を背けた後、自分たちもヴェリーヌで行くと意見を一致させます。
「そちらが披露したアミューズ以上に、観客たちを沸かせ! 昂らせてみせよう!!」
そう宣言するタクミと、不敵な笑みを浮かべる創真を見ながら、両手を握りしめ、目を輝かせる恵が呟きました。
「……そうだよね。二人にはちゃんと……あるもんね! 連隊食戟の後も積み上げてきた……”研鑽”の毎日が――――……!」
【食戟のソーマ】第298話 二人には の感想・299話の考察
ドンの悪辣な企みによってイサミを拉致され、窮地に陥ったタクミを救おうと、会場に現れた創真でしたが、卑劣なドンはそれにすらケチをつけようとして、わたしはイラっとしました。
あと創真を呼んできた恵の、肌や髪の艶は関係ないと思います。
イサミの拉致に勘づいたらしい男性ブックマンのとりなしで、創真がサポートとして参加できるようになったのはよかったものの、ドンが思いのほかまともな料理を作り、審査員たちの評価も高かったのは意外でした。
わたしは少しだけ美味しそうだと思いましたが、オネエに迫られる審査員のイメージにドン引きして、一瞬で食欲が失せてしまい、シェイカーの秘密とかどうでもよくなります。
作業スペースからはみ出ているとか、子供のような言い争いをする二人にわたしは呆れますが、まあいつものことといえばいつものことなので、特に調理に支障はないでしょう。
二人はどんなヴェリーヌを作り出すのか、楽しみな299話も、おいしそうな料理に期待して待ちたいと思います。
【食戟のソーマ】第297話 欠けた半月 のネタバレあらすじ
特等執行官は大会の主催者として、より楽しいものにする為に次の試合も趣向を凝らします。
タクミの対戦者は、真夜中の料理人のドンです。
そして今回の戦いは、サポートメンバーを用意して行う団体戦となります。
ドンはタクミに、先程の試合と同様にお互いの道具を賭けようと提案します。
ドンは朝陽の異能”クロスナイブス”を活かす為に、実はタクミの包丁を狙っていました。
ドンはサポートメンバーとして、沢山のオネエを呼びました。
そしてお題は”連携によって完成するアミューズ”と発表されました。
一方のタクミはイサミを呼ぶと宣言します。
実は連隊食戟後にタクミとイサミのタッグで、次々と卒業生を相手にして腕を磨いていました。
えりなもイサミが力をつけている事や、2人のタッグを評価していました。
イサミを招集する為にタクミが連絡を取りますが、既読も付かず全く連絡が取れません。
実はドンが手を回しており、すでにイサミは拘束されていました。
タクミが調理を始めれない一方、ドンはオネエ達とシェイカーでソースを作り始めます。
そしてドンはタクミの包丁は浮気性だと、タクミを罵倒し始めます。
更にドンはこのままでは不戦勝になってしまうので別の助っ人を呼んでも構わないけれど、対抗出来る料理人なんていないと煽ってきます。
するとタクミの窮地に創真が現れます。
【食戟のソーマ】第297話 欠けた半月 の感想・298話の考察
1対1の戦いだったトーナメント戦ですが、タクミの試合は一味違いました。
突然の団体戦とは、読者を飽きさせない面白い展開です。
タクミも十傑として更に腕を磨いており、確実に力をつけていました。
そして今回のお題がフレンチという事もありホッとしていたのですが、まさかの展開に驚きました。
やはりドンも闇の料理人ですから、やる事が外道です。
前回の試合同様、嫌な空気が立ち込めていましたが創真が登場してくれました。
完全に、これは298話からの勝ちフラグだと思われます。
恐らく調理中のコンビネーションも然る事ながら、タクミの正統派のフレンチに創真の突飛なアイデアが融合した料理で見事勝利するのではないでしょうか。
【食戟のソーマ】第296話 交差する刃(クロスナイブズ) のネタバレあらすじ
一階の大広間で盛んにチップのやり取りが行われる中、両コーナーから司と朝陽が入場してきます。
怖気づいて逃げ出すと思っていたと挑発する朝陽に、司は笑いながらあなたはさほど人を見る目はないようだと言い、自分は料理のためなら何でもする人間なので、今日もこの勝負を自分が楽しむために、あなたに付き合ってもらうと答えました。
その答えに笑みを浮かべた朝陽は、ならば余興の一つとして、自分が勝ったらそのグレーターを寄越せと司に要求します。
疑問符を浮かべながらも、『ひな鶏肉』というお題が発表され、調理の開始が告げられたために、司はまあいいと調理に取り掛かりました。
それを眺める者たちは、司の実力が卒業後さらに冴え渡ったのは、今までは食材にかしずいて自らを消していた彼が、今では食材と対等に切り結ぶことで、より深く素材とわかりあう対話が可能になったからではないかと噂します。
その力でノワールとも渡り合えるはずだとの声が上がる中、何気なく朝陽のようすを見た司は、その腰いっぱいに下げられたホルスターに、無数のナイフが収められている異様な光景に驚き、目を見張りました。
朝陽が最初に取り出したのは注射器で、ほかにも曲芸師のようなナイフや、拷問器具のようなものまであります。
そのころ審査員の席にいなかった男性ブックマンは、部下に呼ばれ、場外乱闘の現場に駆けつけたところでした。
そこで彼は、ノワールのマルカンタとクロード・ビルや、バニーヘアが倒れているのを目撃します。
この少し前、サージェは朝陽に跪き、創真に負けたことを詫びていました。
気に病むなと言いつつ、あんな雑魚に負けたのはびっくりしたけど、自分の方は極めて順調だからと上機嫌に笑う朝陽に、サージェ―はショックを受けます。
料理人は裏も表も負けず嫌いだから、簡単に勝負を受けてくれると呟く朝陽の手には、マルカンタたちから奪ったナイフや注射器が握られていました。
負けたのならお前もそれ使わないよなと、朝陽はサージェにチェーン・カービング・ナイフを要求し、彼女は恭しく差し出しながら微笑みます。
「喜んで朝陽様の異能――――”クロスナイブズ”が輝く礎となりましょう」
そして現在、さぁ行くぞとニヤリと笑った朝陽は、自らの異能を行使しました。
その発動条件は、ほかの料理人の調理道具を譲渡または勝負で強奪し、相手の調理スキルを直接体感する必要はあるものの、相手の料理人の能力をエッセンスとして吸収し、自らに宿す事ができるという驚異的なものです。
今回朝陽は、ディッシュオブ・ブラッドとディッシュ・アームドを掛け合わせて、新たな調理スキルを皿へと発現させたのでした。
真っ先に朝陽の料理を口にしたランタービは、驚きに目を丸くします。
注射器で血だけでなく脂肪まで抽出した血のソーセージ、ブーダンノワールと、チェーンソーによる隠し包丁を施したひな鶏肉という異能の掛け合わせに、ブックマンたちも全員一致で朝陽の皿を評価せざるを得ません。
「どんな料理人なら、このクロスナイブズに勝てるというの!!?」
スーツ姿の女性ブックマンのこの一言が、目撃した者たちの内心を完全に代弁していました。
見守る創真の前で、勝者として朝陽の名が告げられ、司の異能まもでが朝陽に奪われてしまいます。
「やっぱ要らねぇわ、お前の包丁」
と以前朝陽に言われたことを思い出して、あんにゃろうと呟く創真の前に、えりなが現れたのはその時でした。
どこに行ってたんだとか、朝陽の野郎がとんでもねー能力を持ってと言いかける創真に、顔に汗を浮かべ、そうと言ったえりなは、そのまま走り去ってしまいます。
そのようすを訝しむ彼に、今度は恵が走り寄ってきて告げました。
「タ……タクミくんが……大変!!」
「!!?」
【食戟のソーマ】第296話 交差する刃 の感想・297話の考察
前回予告されていましたが、今回は司と朝陽の勝負がメインのお話でした。
ついに判明した朝陽の能力ですが、わたしはすごいと思うより先に、ツッコミを入れたくて仕方がありませんでした。
譲渡されるか、相手から勝負で奪った調理道具を使い、相手の調理スタイルを直接体感する過程が必要になるという、ここまではまあいいとして、問題はその次です。
その結果相手の料理人の能力は、エッセンスとして吸収され、朝陽の躯へと宿る――――。
ここです。
エッセンスとして吸収するってなんです?
ふわっとし過ぎていて、説明になっていないと思われませんか?
調理道具を奪ったら能力を奪えるって、それその調理道具の使い方を理解しただけなのでは?
などと、わたしは頭が混乱してしまいました。
まあなんにせよ、生い立ちのせいか他人のものを欲しがる朝陽には相応しい能力だと、ある意味納得したことは確かです。
えりなはどうしてしまったのかや、タクミになにが起きたのかなど、いろいろ気になる297話も、お腹を空かせて待ちたいと思います。
【食戟のソーマ】第295話 幸平創馬の異能 のネタバレあらすじ
花火など自分に対抗しようと足掻いただけの、見掛け倒しの戯事だと動揺を押し殺すサージェの言葉を、創真はこれは見掛け倒しではなく、真夏の風景にふさわしい線香花火だと冷静に否定しました。
言葉とともに導火線が抜かれた花火はひび割れて四つに割れ、まるで花火のように、真夏のブッシュ・ド・ノエルに無数の粒が散らばります。
広がる良い香りに驚く女性ブックマンたちでしたが、大泉が注目したのは滴ってきたクリームが、アイスのスプーンで刻み付けた樹皮模様の溝に、染み渡って行く光景でした。
食べるように促す創真の言葉に従い、ケーキを口に入れたスーツ姿の女性ブックマンが、一瞬でおはだけしつつ、粒の正体がコーヒークランブルであることを見抜きます。
続いて修道服のブックマンが、みかんの皮をすりおろして混ぜていることに気づき、それを結合させているのが気温で溶けやすいように調整したブラウンクリームだと、創真が補足しました。
男性ブックマンも、それでクランブルのパサつきがちな食感を防いでいるのだと納得しましたが、ついでケーキに一切乳製品を使わなかったもう一つの理由が、コーヒークランブルの淡く散る酸味と苦みを、引き立てるためことだったことに気づきます。
そして老若男女に突き刺さる珠玉の一品だと、創真のケーキを絶賛しました。
衝撃を受けたサージェは、すべての過程はごく普通で、何一つ変わった調理はしていないのに、完成した味はどう見ても異能級な味であることに混乱し、歯ぎしりします。
動揺を抑えきれずに、貴様はなんの異能の持ち主なのかと詰問する彼女に、創真は本当にそんなの持ってないと思うと言いながらも、強いて言うならと顎に手を当て、
「定食屋の知恵? ……っすかね」
と答え、サージェを唖然とさせました。
城一郎は仙左衛門に、遠月に編入するあの春まで、創真にはほぼ毎日無茶振りをし続けてきたのだと言います。
なぜなら高級レストランなどの非日常とは違い、日常の中にある定食屋は、たとえ毎日通おうと客に飽きられるわけにはいかないからです。
そのために不可欠なのは、客を驚かせる品を提供し続ける、絶対的な汎用性と対応力であり、その力を叩き込んだ創真なら、たとえノワールが相手でも引けを取らないのではないかと。
「あいにくウチは……”超一流”の定食屋なんでね」
信じられないならあんたも食べてみたらどうかと、創真が皿を差し出し、受け取って口に運んだサージェは、認めるわけにはいかないと抵抗しますが、最後にはおはだけしてしまいました。
サージェの実力を認めながらも、この勝負は目の前の状況と客を見ようとした創真の精神が、皿をより輝かせたと言う男性ブックマンの評価の後、創真の勝利が宣言されます。
膝をつくサージェに、創真が謝罪しながらも、才波にリベンジするまでは負けられないと言うと、確かに貴様は強いと認めつつも、彼女は笑みを浮かべてこう言いました。
「貴様が朝陽様に絶対勝てない理由……それが、お前のその包丁にあるぞ…………!!」
その言葉に珍しく真顔になった創真が訊き返します。
「……何だと…………?」
同じころ別会場では、司と朝陽の勝負が開始されようとしていました。
【食戟のソーマ】第295話 幸平創馬の異能 の感想・296話の考察
花火の中身は、コーヒークランブルとすりおろしたみかんの皮を混ぜたブラウンクリームで、わたしもこのブッシュ・ド・ノエルが食べたくなりました。
城一郎に子供のころから毎日のように無茶振りされながら、絶対的な汎用性と対応力を身に着けた創真の料理は、もはや異能級であり、わたしはさすが主人公だと感心します。
うちの近所にも超一流の定食屋があればいいのにと、そう思ったのはわたしだけではないはずです。
ついにサージェもおはだけしてしまいますが、朝陽のような発言をするコーヒークランブルの精の見せる、クランブル―ファンタジーには、吹き出すと同時にこれ大丈夫なのだろうかと心配になりました。
創真では絶対に勝てないとサージェが断言する、朝陽の包丁の秘密が気になる、296話も要チェックしたいと思います。
【食戟のソーマ】第294話 真夏のクリスマス のネタバレあらすじ
チェーンソーのようなカービングナイフをつきつけながら、馬鹿にしているのかと憤るサージェに、創真は仰け反りながら、別に馬鹿にはしてないと答えました。
冷蔵庫にいくつか足りないものがあったため、コンビニまで買い出しに行って戻ってきたと言う創真は、このコンビニの袋が、自分の出すケーキの決め手になる予定だと、気の抜けた顔で告げます。
創真の後ろ姿を眺めながら、サージェは朝陽に敗北した時のことを思い出していました。
勝った方は相手を好きにしていいという約束で、朝陽がサージェに求めたのは、配下の有能な包丁として、自らの野望の手助けをする事だったのです。
朝陽に心酔するサージェは、創真がとるにたらない存在だと、この場で証明するつもりでした。
創真はサージェのクリームに対抗するための材料として、豆腐と豆乳をコンビニ袋から取り出します。
彼はそれらをバナナやココアパウダーと合わせ、フードプロセッサーで撹拌したものを、クリームとして使いました。
続いて取り出した山芋を、創真はコンビニ袋越しに掴み、握り潰します。
これをケーキ生地の液に混ぜ、炭火による遠赤外線の効果で、スポンジ生地をふんわりと焼き上げました。
そんな息子の姿を見守りながら、城一郎は思い起こします。
城一郎は創真が小学6年生の時から、数々の無理難題を押し付けては、さまざまな不測の事態への対応力を鍛え上げてきたのでした。
それこそが、今までさんざん周囲を驚かせてきた、創真の脅威の対応力の原点だったのです。
こうして創真が完成させたブッシュ・ド・ノエルの切り株の上には、花火玉の飾りが乗っていました。
真夏を彩る花火と、クリスマスのブッシュ・ド・ノエルの組み合わせに、真夏のクリスマスとはこういうことかと、大泉が納得の声を上げます。
創真に促され、ケーキを刺したフォークを口に運ぶ修道服姿の女性ブックマンを横目に、大泉が見事な樹皮の模様だと褒めると、創真が折り割ったアイスのスプーンを見せながら、このチェーンソーが木の模様を描くのに最適なのだと言いました。
いつの間にか恍惚の表情を浮かべる修道服姿のブックマンが、サラリとしたほのかな甘みの秘密を尋ねると、得意げな笑みを浮かべた創真は、ペーストにせずに握り潰した山芋がその秘密だと答えます。
創真が作ったのは、砂糖も乳製品も一切使わず、素材が持つ甘みを引き出して融合させた、蒸し暑い夏場でも嬉しい、さっぱりしたケーキでした。
自分の作った料理を味わう、目の前の相手のことを第一に考える創真に、見守る者たちも感心したようすを見せます。
スーツ姿の女性ブックマンの、両者ともに実力の伯仲した、難しい審査になったという呟きに、歯ぎしりしたサージェが噛みつきました。
創真のケーキを見た目だけの一発芸だと断じ、自分のクラスターボムケーキの方が総合火力で勝っていると訴えるサージェに、そう言い切るのは早いんじゃないかと、創真がのんびりした口調で反論します。
「だって……まだ花火は残ってるじゃないすか。真夏のパーティーにおあつらえ向きの、とっておきの花火がね……!」
そう言いながら創真は、ケーキの上にある花火玉の導火線をつまみ、力を入れて引っ張ろうとするような仕草を見せました。
【食戟のソーマ】第294話 真夏のクリスマス の感想・295話の考察
冒頭からサージェの持つチェーンソー型カービングナイフに、創真がアイスのスプーンを構えて立ち向かうかのような構図に、リーチの長さが違いすぎると、わたしは絶望的な気分になりました。
しかし言うまでもなくお互いに料理人であり、勝負は料理の腕で決まるため、実際にはリーチの長さや、チェーンソーの刃の切れ味は関係ありません。
だからケーキの決め手として、コンビニ袋を用いる創真は間違っていないように、わたしには思えました。
むしろ今までの違和感満載な調理器具に比べれば、実に普通な工夫を見て、そうそう、こういうので良いんだよと、わたしはうんうん頷いたものです。
城一郎の英才教育で磨かれた、対応力による創意工夫が、もしかしたら異能と渡り合える、創真の武器なのかもしれないと思わされるシーンもありました。
定食屋の跡取りらしい、食べる相手のことを第一に考えた工夫も、立派な創真の武器でしょう。
花火玉の中身が気になる295話も、お腹を空かせて待ちたいと思います。
【食戟のソーマ】第293話 猛る兵装 のネタバレあらすじ
試合直前、創真はサージェに朝陽のためにもお前にはここで消えてもらうと告げられました。
才波のことを知っているのかと問う創真に、お前には関係ないと答えて、サージェは調理台に向かいます。
彼女の頭の中では、創真を雑魚だと切って捨てる朝陽の言葉と、にも拘らず第三の試練を創真が突破したという現実が、不快さを伴って渦巻いていました。
その時、試合のテーマが発表されます。
お題はクリスマスパーティーを盛り上げるケーキ。
真夏にかという質問にも泰然たる態度を崩さず、制限時間である3時間以内に作り上げるように伝えて着席した男性ブックマンでしたが、三人の頭にはいつの間にかクリスマスに被るような三角の帽子が乗っており、色々と台無しでした。
観客たちは卵白とグラニュー糖を入れたボウルに、チェーンソーを突っ込むサージェに度肝を抜かれます。
高速で回転する刃を完璧に制御し、きめ細かなメレンゲを作り出すサージェのパワーと腕前に、男性ブックマンも感心しきりでした。
その後もサージェはスレッジハンマーでチョコレートを砕き、それをパイ生地に練り込んで特殊爆破オーブンで爆破して焼くなど、豪快な調理で観客たちを沸かせます。
こうして生み出された『クラスターボムケーキ』は、ミルフィーユ状に幾重にも重ねられたサクサクのパイ生地と極上のメレンゲ、噛むと口の中で連鎖的に炸裂するチョコチップなど、三つの兵装で作り出された味が絡み合う、まさに戦場のメリークリスマスでした。
次はお前の番だと言うサージェに、そのチェーンソーすげぇカッコイイっすねと笑う創真は、自分もいっちょイカした道具を使って、ケーキを作らなくてはいけないと呟きます。
「奇遇っすね。俺も持ってるんすよ、チェーンソーなら……!」
その言葉とともに創真がポケットから取り出したものを見て、サージェは唖然としました。
「……!? ……な……何をう!!?」
そう彼女が叫ぶのも無理はありません。
自信満々に創真が取り出したのは、コンビニなどでアイスを買った時についてくる、木製のスプーンだったのです。
【食戟のソーマ】第293話 猛る兵装 の感想・294話の考察
今回は第三の試練では本気を出していなかったと言うサージェが、真の兵装料理でケーキを作る話でした。
現実世界ではちょうどクリスマスシーズンとはいえ、さすがに8月の作中でクリスマスケーキは無理があるのではないかと、わたしも思いました。
チェーンソーでメレンゲを作り、スレッジハンマーでチョコレートの塊を粉砕し、起爆装置でパイ生地を焼く。
こうまでしないと美味しいケーキはできないとでも言うのでしょうか?
……普通のハンドミキサーやオーブンじゃだめですか?
あとクラスターボムケーキを食べたブックマンたちの審査が意味不明で、わたしは非常に困惑しました。
途中まではちゃんとした料理の解説で、美味しそうだと思えていたのに、最後の最後で喩えるならそう、とっても美味しくて素敵な戦場のメリークリスマスってなんですか?
味の説明になってないと思うのはわたしだけでしょうか。
調理を終えて創真に絡むサージェでしたが、相変わらずマイペースな創真は余裕綽々で、わたしは頼もしく思いました。
しかしチェーンソーなら自分も持っていると創真が言い出したときには、ん? となり、どおおおんという効果音とともに、アイスのスプーンが出てきた時にはわたしの目も点になりました。
アイスのスプーンでどうやってケーキを作るのか、気になる294話も楽しみに待ちたいと思います。
【食戟のソーマ】第292話 持つ者と、持たざる者 のネタバレあらすじ
「異能」とか何のことだかよくわからないけど、とにかくスペシャリテを出せって話なら、全力で皿に向かうだけだと、司は言います。
しかし彼が取り出した調理器具を見て、大泉を始めとしたギャラリーがざわめきました。
それは食材を細かくおろすのに使う、グレーターという調理器具でしたが、本来のグレーターよりも長大で、まるで剣のようにも見えるほどです。
突然司は牛フィレの塊肉に向けて何度も素早い突きを繰り出し、弾力のある生肉を的確におろしていきました。
その調理法はまるで剣技にも見え、決してノワールの料理人にひけをとるものではありません。
恵の調理
別の調理台では、チェック柄のスーツを身に纏う女性ブックマンが、恵の調理を眺めていました。
定跡どおりに、塊肉のままオーブンで均一に火入れしていた恵でしたが、次の瞬間定跡を外したために、ブックマンは驚きます。
恵が磨いたのは魅せる技術。
諸外国を巡り、さまざまな文化にふれた恵は、和食に馴染みのない人間でも食指が動くような、見た目でも美味しさを感じるアレンジ能力を磨いたのでした。
一つ頷いた恵の皿には、大輪の牛フィレ肉の牡丹が咲き、見る者の食欲を刺激します。
そしてタクミもまた、裏に負けないほどの変わり種の調理器具を持っていました。
メッザルーナというその包丁は、ミンチングナイフとも呼ばれ、半月を意味する、みじん切りを作ったりする時に使う包丁です。
秋の選抜に敗れた後、タクミが磨いてきた技術は、もはや異能に限りなく近づいていました。
鼻を鳴らして、表にも骨のある者はいたかと呟いたサージェでしたが、次の瞬間、立ち尽くしたままの料理人たちを睥睨します。
顔に青筋を浮かべ、血走った目で調理台に向かう覚悟もない者は、今すぐ立ち去れと怒鳴るサージェに反論できる表の料理人は、誰一人としていませんでした。
それを高所から眺めながら、城一郎は創真に異能はあるのかという、仙左衛門からの質問に答えます。
「あるわけねーだろ……そんなもん! 創真はただのちっぽけな定食屋の倅だぜ?」
あんたがしつこく遠月に入れろって言ってこなければ、わけのわからない裏の連中となんて関わらずに過ごしていたはずの料理人だと。
そんな奴がノワールの連中相手に、渡り合えるわけがないと言う城一郎でしたが、その後の内心の呟きは言葉には出しません。
(普通なら……な……!)
腕を組んで突っ立っていた創真の口の端がニヤリとつり上がるのに、サージェが反応したのは次の瞬間でした。
そして第三の試練終了から数時間後、城郭本丸に繋がる最後の門が開きます。
第三の試練を潜り抜けた者しか足を踏み入れることの適わない、バトルフロアの観客は大入り満員。
最初の試合で戦う料理人として赤コーナーから入場してきたのは、先の試練で審査員を務めたサージェでした。
そして青コーナーから入場してきた料理人の姿を見て、サージェの表情が歪みます。
その料理人の名は幸平創真。
「なに怪訝な顔してんすか? 軍隊のおねーさん!」
「何者なのだ……貴様は……!? ……まぁよい、直接戦えばわかること。見せてみよ!! 貴様の「異能」を!!!」
「……異能。異能ねぇ……」
【食戟のソーマ】第292話 持つ者と、持たざる者 の感想・292話の考察
元遠月第一席と遠月勢の登場ということで、期待を持って読み始めたわたしでしたが、司が持ち出した調理道具を見て、雲行きの怪しさに表情が曇ったのが自分でもわかりました。
三人中二人が、普通じゃない調理器具を持ち出した時点で私は思いました。
そうか、異能って「異様な調理器具を使いこなせる能力」の略で「異能」だったんだと。
恵が特におかしなところのない普通の調理器具を使って、皿に綺麗な牡丹を咲かせた時などは、あまりにも普通過ぎて逆に感動しました。
城一郎の話では、創真も異能を持たない料理人らしいですが、普通ならな、とか思わせぶりなことを思ってもいたので、少し心配です。
293話はどんな料理が飛び出すのか、お腹を空かせて待ちたいと思います。
【食戟のソーマ】第291話 異能の料理人のネタバレあらすじ
下駄を履いて走る大泉は思いました。
あのような料理の仕方で、真なる美食など作れるはずがないと。
しかしサージェの作った料理を口にした瞬間、そのような疑念は吹き飛び、思わずこれはスペシャリテ級に美味いと叫んでしまいます。
つまり門を潜りたければ、用意された牛肉を素材とした、スペシャリテを出せとブックマスターは言っているのでした。
サージェは兵装のような調理器具を使ったディッシュ・アームドで、スペシャリテ級の料理だなんて信じられないと疑う、表の料理人たちを黙らせます。
屈辱に歯噛みする表の料理人の前に、厨房で暗い顔をしていてはいけないと、ひょこひょこと近づいてきたのは、ピエロのようなメイクをした小太りの男でした。
彼は合わせると球体になる、特殊な鍋を使ってボールジャグリングを行い、遠心力と熱を利用した火入れによって、圧力鍋を上回る効果を生み出します。
これこそが「調理場ピエロ」と呼ばれるマルカンタの真骨頂、見世物のような料理、ディッシュ・サーカスでした。
ほかにも機械で食材の血液を抜き取り、その血液を変幻自在に利用するディッシュ・ブラッドを得意とする、「赤黒の処刑人」と呼ばれるクロード・ビル。
断頭台のような器具を使用して、牛フィレ肉を向こうが透けて見えるほど極薄にカットする、ディッシュ・サディズムを得意とする、「跳ね回る狂気」と呼ばれるバニーヘアなど、異様な風体をしたノワールたちの料理が、立て続けに合格判定を受けます。
今回のBLUEにノミネートされているノワールは全員、どのような場所、どのような状況、どのような素材でも自分だけのスペシャリテを生み出すことのできる、異能の持ち主だとブックマスターは豪語しました。
表の料理人にこのような真似はできないだろうと言うブックマスターに、それはまだわからないと、アンが静かに反論します。
「ほう……お前の推した”異能の片鱗”を持つ者ら……だな?」
そこには周囲のことなど気にも留めず、既に真剣な表情で食材と向き合っている、恵とタクミ、司の姿がありました。
【食戟のソーマ】第291話 異能の料理人 の感想・292話の考察
あのチェーンソーの衝撃もおさまらぬ中、冒頭からお年寄りが下駄で走るシーンがあり、転んで怪我でもしないだろうかとハラハラしました。
軍服姿の女性の名前がサージェであるという紹介の後、軍曹の略でそう呼ばれるようになったという、男性ブックマスターの思考には、思わずツッコミを入れてしまいました。
呼ばれるようになったって、それは名前ではないのでは? と。
本名とは一言も言ってないのは確かですが、それ通り名とかいうもので、名前ではない気がするのはわたしだけでしょうか?
ほかにもピエロメイクでジャグリングしながら料理する料理人や、覆面とゴム手袋をはめて、機械で肉の血液を吸い出す処刑人の通り名を持つ料理人。
ウサギの被り物をした、右腕だけ血管が浮き出るほどの筋肉質に変形させ、ギロチンで肉をカットする料理人など、ノワールの料理人たちは奇抜な人間揃いでツッコミが追いつきません。
292話では恵やタクミ、司が普通の恰好や調理法でもスペシャリテは作れるのだと、ノワールの料理人たちに教えてくれることを期待したいと思います。
【食戟のソーマ】第290話 真夜中の真価のネタバレあらすじ
創真たちが門を潜ると、そこには既に3人のノワールたちがいました。
彼らが第二の門までを免除されていることを知り、それはつまり運営側からすれば、あの3人が司よりも上ということなのかと創真は驚き、そして悔しがります。
このまま舐められっぱなしはダメだと発破をかける創真に、司はなんで幸平が憤慨しているのかと困惑するのでした。
大体裏の料理人なんて面白い連中がいるのだから、審査員だけじゃなくて、料理人同士でもぶつかり合いたいと愚痴る創真でしたが、ランタービに思い上がるなと言われてしまいます。
次の審査員たちは、昨年のBLUE本選で決勝での審査を任された3人のブックマンたちで、決して一筋縄ではいかない相手なのだと。
その中の一人、スーツ姿の男が腕時計を見ながら、定刻だと第三の試練の開始を告げようとした時、その後ろでモニターが音を立て、城の天守閣と映像を繋ぎます。
ブックマンたちも知らされていなかった予定外の事態に、彼が御簾の向こうになんの用かと問うと、映像越しにブックマスターは言いました。
これまでに裏の料理人は全員生き残ったが、表は既に半数が脱落したとの報告を受けた。
予想どおりとはいえいささか飽きたので、この門では少々趣向を変えた選別を執り行うと。
ブックマンの男性が詳しい事情の説明を求めると、ブックマスターはこう答えます。
BLUEには若手料理人のNo1を決するという意義があるが、巨額の富を投じてこれを毎年欠かさず開催しているのには、ブックマスターの個人的な目的も含まれているからなのだと。
世界の味を食べ尽くしてしまったブックマスターは、今まで地球上になかった新たな皿を渇望しており、それを創造し得る者を発掘することを目的として、BLUEを開催していたのです。
しかし何年経っても期待にそう者が表から現れなかったために、待ちくたびれてしまったブックマスターは、BLUEを変えることにしました。
あくまでも表の料理人は引き立て役に過ぎず、もはや自分は裏の料理人にしか期待していないと、ブックマスターは断言します。
引き立て役扱いされて腹を立てる表の料理人たちに、ならば私の言い分が正しいことを証明させようと言い、ブックマスターはノワールの料理人たちに、牛肉を調理するように命じました。
動いたのは、チェーンソーのようなものを持った、軍服姿の女性。
彼女は牛フィレ肉を包丁で切り、フライパンで焼き始めます。
そのいたって普通の火入れを見て、訝しむ表の料理人たちでしたが、
「ここからが仕上げだ」
と言って包丁の次に彼女が手にとって物を見て、ランタービは度肝を抜かれました。
サン〇イズ立ちをする彼女が構えていたのは、登場した時から持っていた、チェーンソーのようなものだったからです。
これをチェーンソーなどと一緒にするなと、彼女は言います。
「これは私専用の……れっきとしたカービングナイフだぞ」
そしてスターターロープを引き、回転を始めた刃で、焼き上がった肉の表面を何度も傷つけ始めました。
そんなことをしたら、せっかくの上等な肉質が台無しになると言う周囲でしたが、料理を口にした表の料理人は驚きに見舞われます。
その肉からは噛めば噛むほどに、甘美な塩味や風味が湧き上がってきたからでした。
それを聞いた司は、ナイフの連なった刃には、あらかじめシーズニングが塗されており、そのスパイスが肉の繊維の奥に段階的に入り込むことで、多段的な美味しさが完成したのだと見抜き、獰猛な笑みを浮かべます。
その見事なまでの料理の腕を、誰もが認めない訳にはいかず、ブックマスターの鶴の一声で、彼女がこの試練の門番を任されることになったのでした。
【食戟のソーマ】第290話 真夜中の真価 の感想・291話の考察
今回の話は、引き立て役の表の料理人たちが、その役目を全うしてノワールの料理人を引き立てるお話でした。
後誰もが気になっていたであろう、軍服姿の女性料理人が持っていた、チェーンソーの話です。
本人は、自分専用のれっきとしたカービングナイフだなどと言っていましたが、そのシーンを見たわたしは、思わず「嘘だッ!!!」と叫んでしまいました。
カービングナイフはあくまでもナイフに過ぎず、エンジンもスターターロープもついてなどいないことを知っていたからです。
それは間違いなく、かみをバラバラにできる武器でした。
それ使ってフライパンの上にある牛フィレ肉を切るシーンは、なんて器用なのだろうと、感心してしまうほどです。
しかし刃にシーズニングを塗してあるという解説には、手入れとか大変そうだなと心配になってしまいました。
敵方と言っていいであろう彼女を審査員とした試練を、創真たちは無事に突破して次の本丸に至ることができるのか、291話も必見です。
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